全般的なパラメータ

全般(Genaral)パラメータセクションのパラメータは、植物の姿やバイオマス(biomass:生体量)の累積具合、ライフサイクルといった事柄を決めます。

曲線の分割数
(Number of segments to draw to create curved line)

この数値は、曲線の見た目の美しさにかかわってきます。植物の茎のすべてに影響します。このパラメータの働きを見るために、値を1に設定してみましょう。植物の姿には、滑らかな曲線がなくなり、不恰好に見えます。一つの曲線あたり3分割の設定が、曲線が現実的なものとなる最小値でしょう。もちろんもっと高い値に設定してもよいです。四捨五入するため、この値を変更するとその植物の角度に少し影響がでます。


[訳注:左図は分割数1、右図は分割数7。
分割数1では、茎が折れ線状になって曲線の滑らかさがありません。]

描画角度の揺らぎ具合
(Random sway in drawing angles)

この数値は、植物体上の各種角度の変動の程度を決めるものです。特に、葉や花、花房中の枝の付く角度や、節間の角度(ある節が次の節との間に成す角度)の変動幅(多様性の度合)を決めます。もしも植物を正確な角度のもとで描きたいならば、この値は0にします。この値を90度に設定すると、あまりにも奇妙な角度設定のため、植物はものすごくねじれたものになるでしょう。通常は、10度以下に設定するとよい結果が得られるでしょう。


[訳注:左図は揺らぎ角度0、
中央は揺らぎ角度10、
右図は揺らぎ角度20。
ランダム化が行なわれる時の変動幅です。]

成熟年齢(Age at maturity)

成熟年齢は、自分の好きな数値に設定できます。ただし、例えば、[節間:成長に要する最小日数(Internodes: Minimum days to grow)]のようなタイミングのパラメータが、システム全体のあらゆるところにたくさんあるので、通常、この値は、少なくとも35日以上にしておくことになるでしょう。この値を大きく設定すると、越年成長(second-year growth)をシミュレートしたり、低木(shrub)のシミュレートになったりします。しかしながら、長いライフサイクルを持った植物は、おそらく、描画に時間を要することになるでしょうし、アニメーション表示がうまくいかないかもしれません。最適のライフサイクル日数は、100日くらいです。

成長曲線(Growth curve)

成長曲線に関する説明は、「植物はどんなふうに生長するのか(How a plant grows)」にあります。

開花年齢(Age at which flowering starts)

このパラメータは、活動するすべての分裂組織が生殖モードに切り替わる時を指定するもので、この時点から花房の生成が始まります。作成した植物に花を咲かせたいならは、この値を[成熟年齢(Age at maturity)]よりも小さく設定して、花(必要ならば実)を形成するのに充分な時間を、成熟年齢より前に作ってやります。

成熟時の全生体量に占める生殖構造(花や実)の割合
(Fraction of total plant biomass at maturity in reproductive structures)

ほとんどの植物でこの値は、0.4 から 0.6 の間の値になるでしょう。この値は、([最終的な最適生体量(Optimal final biomass)]の設定によって)植物の各部分間で生体量がどのように分配されるのか、また、タイミングパラメータの設定によって決まってきます。この値を変えると、植物体にどんな影響が出るのか、統計パネル(Stats panel)にどのように反映されるのか、試してみてください。

この植物は雄雌両方の花をつける
(Plant has both male and female flowers)

このパラメータを「はい(yes)」と設定するような植物は、ほんの少ししかありません。もしもこのパラメータが「いいえ(no)」ならば、二次花房(Secondary Inflorescences)二次花(Secondary Flowers)の全パラメータを無視して構いません。一次花は雌性部分と雄性部分の両方を持ちますが、二次花は雄性部分のみを持ち、実をつけません。 植物のライブラリファイル「garden plants.pla」にあるトウモロコシ(corn plant)は、雄花と雌花を別々につける例です。

この植物は双子葉植物(子葉が2枚)
(Plant is dicotyledonous (has two seedling leaves) )

「PlantStudio の得意な植物、苦手な植物(botanical strengths and limitations of PlantStudio)」で記述したように、PlantStudioでシミュレートする単子葉植物(子葉が1枚の植物)と双子葉植物(子葉が2枚の植物)の違いは、ほんの見せかけだけのものです。このパラメータで「はい(yes)」を選択すると、2枚の子葉が描かれます。「いいえ(no)」ならば、描かれる子葉は1枚になります。(PlantStudioにおける)単子葉と双子葉の違いはそれだけです。(訳注:現実の植物では、単子葉植物は、葉が平行脈、根がひげ根、双子葉植物は、葉が網目状脈、根が主根側根、などの違いがあります)。

頂花(房)の数、腋花(房)の数
(Number of apical (terminal) inflorescences, Number of axillary inflorescences)

これら2つのパラメータに従って、植物上に花(房)が配置されます。花(房)の数は、指定した数値に忠実に実行されます。というのも、この数値に確率的な揺らぎを加えると、多様性が過剰になってしまうのです。実際に、たくさんの植物の花(房)の数は、様々だけれども過剰ではありません。利用可能な頂生/腋生の分裂組織の数に基づいて、植物上に配置する花(房)の数を設定しなければなりません。次の例がご参考になるでしょう。

葉序の開度
(Phyllotactic rotation angle)

この角度は、茎上の葉が次の葉との間に作る角度です(葉が茎の周りにらせん状に付いていくと考える)。植物の大多数で、この角度は 137.5度です。ある種の草では、180度のこともあります(こっち側に付いたら次はあっち側)。厳密には植物学的に正確ではないのだろうけれど、この値をいじって、つる性の植物とか水中植物とかにちょっとおもしろい効果を作り出すことができます。

乱数発生器の乱数種
(Starting seed for random number generator)

この数値は、植物が生長する際、特に分枝や角度の選択時に植物が行なうランダムな選択のすべてを司ります。植物にランダム化を行なうと、この数値が変更されます。ランダム化の作業では、[全般パラメータ:描画角度の揺らぎ具合(General parameters: Random sway in drawing angles)]が大きく影響します。なぜなら、このパラメータ値が0ならば、ランダム化が起こらないからです。