生長に関する一般的なパラメータ群
(A common suite of parameters for growth)

植物の各部の生長を扱うパラメータを取り出してみました。これらのパラメータは、いくつかのパラメータセクション(節間(Internodes)葉(Leaves)雄/雌花(Male/Female Flowers)雄/雌花房(Male/Female Inflorescences)実(Fruit))で繰り返し出てくるものです。

最終的な最適生体量(植物の最大生体量に占める%)
(A common suite of parameters for growth)

このパラメータは、植物の成長につれて、植物の生体量が植物の各部にどのくらいずつ分配(allocate)されるのかを決定するものです。成熟した植物体ではどのタイプの部分がどのくらいあるのか、成長にかかわる部分と生殖にかかわる部分との比率はどのくらいか、といったことを考えることで、生体量が植物各部にどのように分配されるのかを算定することができます。あるいは、各パラメータのスライダーまわりを動かすことで、植物がどう変化するのか、このとき、統計パネル(Stats panel)調べて、生体量がどのように分配されているのかを見ることができます。植物のライフサイクル全体に渡って配慮が行き届いているかどうか確認してください。というのも、成熟時によくできた見た目の植物であっても、その残りの生活史で現実にはありえないような見た目になってしまうことだってあるのです。

分裂組織が何かに成るまでの最小日数
(Minimum days for meristem to create)

成長速度の上限を決めるパラメータです。植物の成長速度の物理的限界をシミュレートするものです。栄養状態やエネルギーなどの条件が成長にとって良好にある場合であっても、この上限値を超えることはありません。この限界値は主に、植物体中の物質の移動(mass-flow rates:物質流量)や成長にかかわる化学反応速度によって規定されます。ほとんどの植物の部分で、3daysが、この値の合理的な最小限度値です。
(訳注:この日数よりも短い日数で「何かに成る」ことはありません。分裂組織(芽)は、節間や葉、花房、花などの「何か」になるために、「バイオマスを蓄積する場所」です。最低限この日数の間は「何か」に成らずに雌伏してバイオマスを蓄積します。「何か」に成ったら、「何か」の側が独自にバイオマスを要求することになるでしょう。)

生成/開花/結実に必要な最適生体量の最小割合
(Minimum fraction of optimal biomass needed to create/open/set fruit)

「ここから始まり(starting-out)」の生体量とわれわれが呼ぶところのものです。その部分が十分に生体量を獲得して初めて、そこが成長(枝を作ったり花や実をつけたり)し始めます。その植物部分の最終的な最適生体量に対する生体量の割合で、これを指定します。通常、生成のための最小割合の合理的値の範囲は 0.1 〜 0.2 くらいです。開花のための芽の最小割合は、0.5 くらい、結実の場合は、0.8 くらいです。

分裂組織が何かに成るまでの最大日数
Maximum days for meristem to create

ある分裂組織が、節間(と1枚ないし2枚の葉)や、花房に成る作業の途中であっても、いずれは、その作業を中断して、次の構造へと移っていくことになります。これは、完全な構造を作るのに利用可能な十分のバイオマスが蓄積されていない場合でも、そのような移行が起こります。 この上限日数は、植物が新しい部分に優先的にその資源を分配する様子をシミュレートします。果実を除く植物のほとんどの部分で、通常この値は、10日か12日が最適です。果実では、もう少し長めで、20日前後です。
(訳注:分裂組織(芽)は、節間や葉、花房、花などの「何か」になるために、「バイオマスを蓄積する場所」です。バイオマスの蓄積が十分な量に達していなくても、この日数を過ぎたら、「何か」に成って、バイオマスを別の構造へと回すようにします。)

成長の最短日数(Minimum days to grow)

これは、もうひとつの速度制限パラメータです。節間、葉、花房、花、実は、これよりも短い日数で最大サイズに達することはありません。植物のその部分の構造を作り上げるのに最低この日数が必要だからです。通常、最低3日に設定すると植物のまともな外観を維持できます。(訳注:このパラメータは、分裂組織が何かに成るまでの最小日数 (Minimum days for meristem to create)とよく似ています。「もう一つの速度制限パラメータ」とはそういう意味です。「分裂組織が何かに成るまでの最小日数」の主役が「分裂組織(芽)」であるのに対し、こちらのパラメータの主役は、その分裂組織から生成された節間、葉、花房、花、実、が主役となります。)

成長の最大日数(Maximum days to grow)

この上限速度は、だいぶ古くなって少ししか機能(光合成とかの機能)を果たしえない植物の部分の新たな成長を停止するものです。節間や葉、花では、この値は10日か12日です。花房や実生では、もう少し長くなって、おそらく20日〜30日くらいです。(訳注:このパラメータは、「分裂組織が何かになるまでの最大日数」とよく似ています。この場合も主役が違います。)