花房のパラメータ
(Inflorescence parameters)

花房(inflorescence:花序とも訳す)は、(複数の)花を保持する構造部分です。花房(花序)の例をいくつか挙げておきましょう:

一次花房セクションと二次花房セクションのパラメータは、花房がどんな風に生成され、生長し、また描かれるのかを記述するものです。ここでの説明は、一次花房(雌性ないし両性)と二次花房(雄性)のどちらにもあてはまります。

花房茎の色、小花柄の色
(Stalk color, pedicel color)

花房軸(inflorescence stalk)は、花房の主茎部分で、ここで植物とつながります。小花柄(pedicel:小花梗{しょうかこう}ともいう)は、各花が花房内の茎とつながる小さな枝部分です。(訳注:Stalk color は、花房内の主茎だけでなく二次枝の色も規定するようなので、花房茎の色と訳しています。)

主枝上の花の数、二次枝ひとつあたりの花の数
(Number of flowers on main branch, per secondary branch)

花房の枝(inflorescence branches)は、花房の主茎(main inflorescence stem)から分かれて出てきます。分枝は一つのレベルのみがサポートされています(訳注:二次分枝までサポート)。穂状花序(spike inflorescence)では、すべての花が主枝上に置かれ、二次枝上には一つも置かれません。散形花序(umbel)(傘をひっくり返したような形の花序)では、すべての花が二次枝上に配されます。(訳注:main inflorescence stem が main branch であるとして訳しています。主枝も "branch" なので矛盾しますが…。)

二次枝の数
(Number of secondary branches)

(上の図の4番目のような)枝分かれする花房を作るには、この設定の数値を0より大きくします。花房の数の設定の場合と同じように、ここでの設定値は、二次枝の数そのものです。いろいろ数値を変えて花房がどのような外観になるかを試してみてください。

花房の枝は互生
(Inflorescence branches are alternate)

「はい(yes)」の場合、二次枝は、主枝(stem:茎)上の一箇所あたり一本ずつ分枝します。「いいえ(no)」の場合、「対生(opposite)」となり、一箇所あたり二本ずつ分枝します。これは、葉序の対生/互生と同じことです。

花房の枝の角度、小花柄の角度、花房柄の角度
(Angle of inflorescence branch, pedicel, peduncle)

花房柄(peduncle)は、腋生の花房がその植物の主茎から分かれでてくるところです。小花柄(pedicle:小花梗ともいう)は、花の柄です。

花房茎にらせん状に花をつける
(Flowers spiral around main stem)

通常はこのパラメータをオンにしておいてください。オフにすると、花房の茎(stem)に沿って完全に一直線に並びます。

頭状花序(ヒマワリのような)
(Head type (like sunflower))

「はい(yes)」にすると、花房内の個々の花は花房の茎(stem)に沿って描かれず、ぐるりと輪になって描かれます。これは、植物学的には正確ではないけれど、ヒマワリやデージー(daisy:ひなぎく)みたいに見える効果をもたらします。

小花梗の先細り指数
(Pedicel taper index)

このパラメータによって、小花梗(花の柄)(pedicel (fower stems)) が花や実3Dオブジェクトに近づくにつれて細くなっていきます。こうすることで、柄の部分と3Dオブジェクトがより自然に見えるようになります。先細りをさせたくなければ、この値を100%に設定します。指数の値を小さくするほど先細りするようになります。先細りの設定は、画面上およびDXFファイル形式での出力でのみ有効で、POV形式の出力では働きません。先細りを設定した場合には、曲線の分割数を大きくすると、2D出力でよい結果が得られます(曲線の分割数を設定するには、パラメータ[全般パラメータ:曲線描画のためのセグメント分割数 (General parameters: Number of segments to draw to create curved line)]を変更します)。対象となる花房の柄がもう十分細いなら、この設定によってそれ以上補足することはできません。

頂生(頂端)
(Apical (terminal))

このパラメータは、対象となる植物に一次花房と二次花房があって、その一方が頂端にあり、もう一方が腋側にあるような場合にのみ使われます。そのような場合、どちらの花房に設定しているのか明らかにしておく必要があるでしょう。そのような必要がなければ、このパラメータは無視して構いません。

最適生体量、分裂組織が何かを作る最短/最長日数、花を生成/作成するのに必要な最小生体量(その最適生体量に対する割合で指定)、生長の最短/最長日数
(Optimal biomass, Minimum/maximum days for meristem to create, Minimum fraction of optimal biomass needed to create/make flowers, Minimum/maximum days to grow)

生長に関する一般的なパラメータ群(A common suite of parameters for growth)を見てください。

すべての花がつくのに要する日数
(Days for all flowers to develop)

花房上にすべての花がつくのに要する日数を決定する唯一のパラメータです。花房につく花の数を設定したのにそれよりも少ない花の数で終了してしまうようなら、すべての花をつけるのに十分な時間がなくて、その植物のライフサイクルを終えたのでしょう。このような場合には、このパラメータの数値を小さくするか、あるいは、[全般パラメータ:成熟年齢(General parameters: Age at maturity)]を大きくします。

上から下へと花をつけていく
(Flowers develop from top to bottom)

多くの植物で、花房内で一番古い花は、一番下にある花です。しかし、いくつかの植物では、これが逆転しています。花がつくタイミングを上下反転したいなら、このパラメータをオンにします。このパラメータは、花房上の花がすべてついた状態になるのにある程度の時間を取れる場合のみに効果があります。それができないと、その花房上のすべての花は、どのタイミングでも同年齢となり(同じ量のバイオマスを要求し)、結果としてそれらの花のサイズに違いがなくなるでしょう。


(Bracts)

花房の苞(inflorescence bract:総苞(involucre)とは、花房の基部に見られる葉のような構造物(特殊化した葉)のことです。(訳注:花房の基部にある苞を総苞(involucre)と呼びます。)

訳注:pedicle と peduncle
一つの花を支える柄の部分を pecdicle といい、複数の花を共通して支える柄を peduncle といいます。これは、花序を作らず単独で咲く花でも、花序内の花でも同じです。一方、日本語では、単独で咲く花の柄の部分を花柄と呼び、花序内の花に直接つく柄を小花柄と呼ぶことがあります。また、(小)花柄を(小)花梗ということもあります。一般に、peduncle を花柄、pedicle を小花柄(小花梗)と訳すようですが、上記の認識に従えば、pedicle は、単独の花の場合、花柄と訳し、花序内の花の場合には、小花柄と訳すのが正しいことになります。ここでは、pedicle を「小花柄」、場合によって「花柄」とし、peduncle を「花房内の茎」とか「花房柄」と訳すことにします。"inflorescence stalks", "main inflorescence stem" という表記もよく見られます。