パラメータの許容値とデフォルト値の変更
(Changing global parameter bounds and defaults)
パラメータの許容値(bounds)とデフォルト値(defaults)は、PlantStudio のプログラム内に格納されています。ある種の環境下では、パラメータの許容値とデフォルト値を変更したい(override)と思うかもしれません。設定ファイルに直接、この変更を書き込む(override)ことで、それを行なうことができます。
訳注:"override" は、「プログラムに内蔵される許容値とデフォルト値を、設定ファイルの記述で "上書きする"」という意味で使われていると思います。以下、「オーバーライド」とカタカナ表記します。
注意:パラメータの許容値とデフォルト値の変更は、高度なトピックに属します。PlantStudio に習熟していて、その様々な概念をよく理解している、ということではないなら、それを行なうべきではありません。許容値とデフォルト値の変更に関する助けが必要ならば、私たちにお知らせください。あなたの設定ファイルに含まれるべき正しい値をお送りします。
一般的な オーバーライド フォーマット
(General override format)
パラメータの許容値やデフォルト値をオーバーライドするには、設定ファイルの Overrides セクションに行を挿入します。まだ Overrides セクションがないなら、自分で作ります。図式的な Overrides セクションはこんな感じになります:
… [Overrides] Section name: Parameter name=0.0 100.0 (50.0) Another section name: Another parameter name=1.0 60.0 (25.0) Yet another section name: Yet another parameter name=0.0 0.0 (TRUE) …
ノート:PlantStudio 2.01 と 2.10 との間に オーバーライド フォーマットに変更がありました。PlantStudio 2.10 で行なう場合、各 オーバーライド ごとに、そのパラメータのセクションと名前 をコロンで区切って指定してやる必要があります。この変更は下方互換性がないことに注意してください。PlantStuido 2.1 かそれ以上で行なった オーバーライド は、PlantStudio の古いバージョンでは正確に機能しないでしょう。私たちはこのことについてあまり気にしていません。というのも、設定ファイルの オーバーライド が簡単になったのだし、また、 オーバーライド は、おそらく、そう頻繁には行われないだろうと思うからです。
各 オーバーライド の行の最初の部分は、セクションとパラメータの名前です。これは、PlantStudio で表示されているものと 正確に 同じでなければなりません(パラメータ上で表示されるポップアップメニューの「パラメータ名のコピー(Copy Parameter Name)」を使って、必要な名前をすばやく取ってくることができます)。次の部分すなわちイコール記号の後の部分は、3つのパートに分かれます。下限値(lower bound)、上限値(upper bound)、括弧つきのデフォルト値、です。デフォルト値は 必ず 括弧で囲う必要があります。3つのうちいくつかがそのパラメータに適用されなくても、必ず 3つ全ての値を指定する必要があります。
タイプ別 オーバーライド
(Type-specific overrides)
数値パラメータ(number parameter)では、オーバーライド の行はこんな感じになります:
General parameters: Number of segments to draw to create curved line=1.0 30.0 (5)
ここで、1.0 は下限値、30.0 は上限値、 5 はデフォルト値です。
S字曲線パラメータ(S-curve parameter)では、こんな感じになります:
General parameters: Growth curve=0.0 1.0 (0.25 0.1 0.65 0.85)
最初の二つの数値は、常に必ず 0 と 1 でなければなりません。括弧で囲われた部分には4つの値があり、それは、x1、y1、x2、y2 の順にS字曲線を記述するものです。これは、S字曲線パラメータパネルで表示される値と同じ順序になります。
yes/no パラメータ(yes/no parameter)では、こんな感じになります:
General parameters: Plant is dicotyledonous (has two seedling leaves)=0.0 0.0 (TRUE)
許容値として2つの0が置かれていますが、これは無視されます。デフォルト値は TRUE です。ここでエントリーするデフォルト値は、TRUE か FALSE のどちらかです。
リストパラメータ(list parameter)では、こんな感じになります:
Leaves: If compound, shape=0.0 0.0 (0)
許容値として2つの0が置かれていますが、これは無視されます。デフォルト値は、0です。この場合、0は、選択リストの一番目ということで、二番目、三番目…、は、1、2…、となっていきます。選択を表す数値は、PlantStuio のパラメータパネルで表示される順序と同じです。(この例、すなわち複葉の例では、0は羽状複葉です。デフォルト値を1に設定すれば、デフォルトの複葉は、掌状複葉になります。)
色パラメータ(color parameter)では、こんな感じになります。
Internodes (stems): Internode color=0.0 0.0 (50 150 50)
許容値として2つの0が置かれていますが、これは無視されます。デフォルト値は、赤50、緑150、青50です。3つのRGB値が一緒になってデフォルトの色を作ります。各RGB値は、0から255の間の値になります。
3Dオブジェクトパラメータ(3D object parameter)の オーバーライド は複雑です。デフォルトの3Dオブジェクトの オーバーライド を行ないたいなら、私たちに尋ねてください。デフォルトで使用したい3Dオブジェクトを私たちに送ってもらえれば、オーバーライド用の行をあなたに送り返しますから、それをあなたの設定ファイルに貼り付けしてください。もしもそれを自分でやりたいならば、デフォルトの3Dオブジェクト オーバーライド の行は、次のようになっています:
Leaves: Leaf 3D object=0.0 0.0 (N[Default 3D object],P[134 245 150],P[113 208 145],P[135 209 150],P[109 171 142],P[136 171 147],P[135 136 138],P[156 208 145],P[159 171 140],T[1 2 3],T[3 2 4],T[3 4 5],T[4 6 5],T[3 7 1],T[7 3 5],T[8 7 5],T[8 5 6])
訳注:表示の都合上、適宜改行が入っていますが、実際には改行なしの一行になります。
許容値として2つの0が置かれていますが、これは無視されます。デフォルト値は、3Dオブジェクトを定義するもので、見てのとおり長い記述となっています。記述はカンマで区切られ、カンマで区切られた各部分の先頭は、大文字のアルファベットになっています。このアルファベットは、それに続く角括弧内の情報が何であるのかを表します。アルファベットによって角括弧内は、次のようになります:
N[xxxxx] xxxxx は、その3Dオブジェクトの名前
P[xx xx xx] xx は、3D空間内の頂点のx,y,zの値
T[x x x] x は、三角ポリゴンを作る頂点の identifier の値
3Dオブジェクトの記述は、一行を超えてはいけません(ここに記述したように)。閉じ括弧に至るまで、改行なして続けなければなりません。
パラメータの許容値とデフォルト値の変更のTips
(Tips on changing parameter bounds and defaults)
- 許容値を変更してしまうと矛盾を生じるものがあります。たとえば、比率のパラメータでは、許容値の範囲を0〜1を外れる値に変更してしまうと、数値の例外を生じることになるでしょう。すべての場合で次の事を行なうことを推奨します:a)許容値の変更は、一度にひとつずつとする。b)新しく設定した許容値がそのタイプのパラメータで意味の通るものであることを確認する。c)許容値のテストをすぐに行い、問題が生じないことを確認する。
- パラメータの許容値を変更してから、プログラムを起動、植物ファイルを読み込み、それから、その植物ファイルを保存すると、そのパラメータの許容値が、すべての植物に対して、強制されます。このため、この許容値によってパラメータ値に切り捨てが起こると思われるなら、そのパラメータの許容値を変更する前に、自分のお気に入りの植物ファイルのバックアップをとっておいてください。
- 行の最初にセミコロンをつけることで、簡単に オーバーライド を行なわなくすることができます。ただし、次の点に注意してください。すべての オーバーライド をコメントアウトすると、プログラムは [Overrides] セクションのラベルを取り除きます。この場合、オーバーライド の行のコメントアウトをはずして オーバーライド を復活するには、[Overrides] を書き入れて元に戻す必要があります。
- すべてのパラメータがデフォルト値を持ちますが、いくつかのデフォルト値は実際には使われません。なぜなら、それらの値は、(完成した新規の植物を作る唯一の方法であるところの)植物作成ウィザードで設定されるからです。400あまりのパラメータのうち、約30のパラメータがこのウィザードで設定され、それ以外のパラメータはデフォルト値に設定される結果、様々な違いのある植物が作られるのです。
- 育種は、設定された許容値の範囲内でパラメータ値を変動させることで機能します。それらの許容値の範囲を設定することで、描画の問題が起こるのを避けているのです。もしも許容値の範囲を極端に(例えば 100 から 1,000,000 というように)変えてしまうと、植物を育種する際に様々な問題が起こるでしょう。許容値の変更は、その値の2倍以下にとどめておくことをお勧めします。