植物の各部分はどんなふうに成長するか
(How plant parts grow)

植物の各部分全ては、直線的に成長(芽、茎、花房、花)するか、S字曲線状に成長(葉、実)します。どちらの成長の仕方でも、その部分が最大サイズに達するまでに要する最小日数を指定することで、成長速度が制限されます。この「速度制限」は、成長の速度の物理的限界をシミュレートするものです。さらに、いくつかの植物部分は、一定日数の後バイオマスを要求しなくなります。これは、その部分が老齢になりそれ以上成長しなくなるからです。実際に、葉やその他の部分の多くは永遠に成長しつづけるということはなく、その植物そのものはまだ生長しつづけている場合でも、その部分の成長をいずれ停止します。こうすることで植物は、より光合成の効率がすぐれている新しい葉に、その資源を集中することができるのです。

ここでは、植物各部分の成長のタイプを見ていきましょう。

分裂組織(芽)
(Meristems)

芽は、植物のほかの部分を作るためにバイオマスを蓄積するためだけにあります。PlantStudioにおいて、芽が果たしている実質的な役割というのは、まだ小さくて目に見えない頃の茎や葉、花房を保持管理することです。現実には、それら茎や葉、花房が顕微鏡でしか見ることができないほど小さい頃であっても、それらの部分の違いを区別することは可能です。芽は、特定の植物の部分(葉芽にあっては茎および1枚ないし2枚の葉、花芽にあっては花房)を作るのに必要なだけのバイオマスを要求します。バイオマスの量が蓄積され(そして最小日数が経過すると)、芽はバイオマスを新しい植物の部分に渡し、自身のバイオマスは空になり、次の植物の部分を作るために再び蓄積を開始します。

節間(茎)
(Internodes)

茎は葉芽(vegetative meristem)から形成され、栄養成長のバイオマスを要求し始めます。直線的に成長し、最大の長さ、太さに達することになります。


(Leaves)

葉の成長は、とても単純です。葉は、S字成長曲線に従ってバイオマスを要求します(S字成長曲線はほとんどの葉の成長を正しく記述します)。葉は、その最大のバイオマス([葉:植物の最大バイオマス(Leaves:Optimal plant biomass)] )に対する現バイオマスの割合に応じてその3Dオブジェクトを描きます。

花房
(Inflorescences)

花房は、生殖成長の分裂組織(花芽)から作られます。直線的に成長し、それにしたがって生殖成長のバイオマス(花や実になるためのバイオマス)を要求します。花房による花の生成は、バイオマスの蓄積に影響されません。花房は、開花予定の各花のタイムテーブルと開花に要する日数したがって、淡々と花を生成するだけです。花房ができるときのように、このメカニズムは、植物が予定したとおりに確実に物事を進めるためのものなのです。

花と実
(Frowers and Fruits)

PlantStudio は、花と実を、同じオブジェクトの異なるステージにあるものとしてシミュレートします。実は、花の基部にある子房(ovary)から成長したものなので、このようなシミュレートが現実的なのです。本当のことを言うと、一般に「花」と呼ばれるものは、複数の子房を持ちうるのですが、PlantStudio においては特別に、ひとつの花はひとつの子房を持ち、これからひとつの実ができるものとしています。花/実オブジェクトは、3つの主要なステージを経過します。花芽として、このオブジェクトは、直線的に成長する花の最適バイオマスに従って、バイオマスを要求します。開花した花として、このオブジェクトは、各花が直線的に花の最大サイズに向かって成長するためのバイオマスを要求します。実として、このオブジェクトは、S字曲線成長する実の成長に従ってバイオマスを要求します。各ステージでの成長は、そのステージの最短日数によって速度を制限されます。最終的に、実は、その最大サイズに達していない場合であっても、ある日数を経過すればその成長を停止します。

別々の一次花(両性化ないし雌花)と二次花(雄花)を持つ植物では、 一次花だけが実になることができます。一次花、二次花の両方とも、ある日数(花:実ができなくても落花する日数(Flowers: Days until drop if fruit not set) )を経過すると、脱落します。一次花/二次花の両方を持つ植物では通常、二次花の脱落は早く、一次花の脱落は遅いです。実(fruits)は、指定した日数の間は未熟(実:未熟部分の表/裏面の色(Fruit: Unripe section front/back face color) )として描かれ、その後、熟した場合の色(実:熟した部分の表/裏面の色(Fruit: Ripe section front/back face color) )で描かれます。ここで熟す様子は、生理的な変化としてはシミュレートされず、色の変化があるだけです。