POV形式へのエクスポート
(Exporting to POV)
POV-Ray は、たくさんの人に利用されているフリーの3Dレンダリングエンジンです(POV-Ray のさらに詳しいことは、http://www.povray.org まで)。PlantStudio は、植物を、POVシーンファイルへの INC(include)ファイルとしてPOV形式に書き出すことができます。PlantStudio によるPOV形式は、POV-Ray version 3.1 の仕様によっています。
POV形式特有のオプション:最大サイズの上限
(Special options: Minimum size limits)
ある種のPOVレンダラーには、線やポリゴンの最小サイズがありますが、PlantStudio にはそれがありません。これが何を意味するかというと、PlantStudio からPOV形式でエクスポートして、それをPOVレンダラーで表示すると、ある限界以下の線やポリゴンがゼロサイズとしてレンダリングされる、ということです。こうしたことが起こったら、POVレンダラーはエラーを吐き出し、描出を停止します。こうした問題を避けるために、POV形式でエクスポートする場合には、線や3Dオブジェクトの最小サイズを設定できるようになっています。
- POV形式で書き出す場合の線の最小の長さを指定するには、POVの3Dエクスポートウィンドウで、この長さ以上の線をキープ(Keep lines at least this long (mm) )で数値を設定します。最小限度の 0.01 mm にしておけば、おそらくほとんどの植物がレンダリング可能でしょう。
- POV形式で書き出す場合の3Dオブジェクトの最小の大きさを指定するには、POVの3Dエクスポートウィンドウで、この大きさ以上の3Dオブジェクトをキープ(Keep lines at least this long (mm) )で数値を設定します。最小限度の 0.01 にしておけば、おそらくほとんどの植物がレンダリング可能でしょう。
POV形式特有のオプション:複数の植物をunionにまとめない
(Special options: Comment out union of plants at end)
(訳注:「Comment out union of plants at end」は、直訳すると「ファイル末尾の植物のユニオン部分をコメントアウトする」)。
PlantStudio は、エクスポートした INC ファイルの中に、ある一つのユニオン(union)を書き込みます。このユニオンは、すべての植物を一つの「allplants」オブジェクトに集めたもので、POVファイルからこのオブジェクトを参照することができます。
このユニオンは例えば次のように記述されています:
#declare allPlants_<filename> = union { object { <plant1> } object { <plant2> } ... }
このユニオンを参照することで、POVファイル側からすべての植物をインクルードすることができます。POVファイル側から「allplants」を用いて、例えば次のようにインクルードします:
#include "<filename>.inc" object { allPlants_<filename> }
このようにすると、「allplants」オブジェクト全体をまとめて拡大・縮小、移動、回転、することができます。もしもこのオプションが必要なければ、PlantStudio は、このユニオンの部分をコメントアウトします(そして、後から心変わりしてこのユニオンが必要になったら、コメントアウトを解除できます)。「allplants」ユニオンを使用するには、POVの3Dオプションウィンドウのネスト(Nest)パネルの複数の植物をunionにまとめない(Comment out union of plants at end)のチェックをはずします。ユニオンを使わないなら、チェックをします。
PlantStudio から POV-Ray INC ファイルを保存、使用する場合のTips
(Tips on saving and using POV-Ray INC files from PlantStudio)
- PlantStudio で書き出した INC ファイルを用いて、POVファイルをレンダリングした時に、線かポリゴンに長さゼロ/サイズゼロのものがある旨メッセージが出るようなら、線及び3Dオブジェクトの最小サイズをもう少し大きくしてもう一度植物をエクスポートしてみてください。これで小さい葉が消失してしまうようなら、それがでてくるまで最小サイズを小さくします。
- PlantStudio は、自動的に、指定した INCファイル名のスペース部分をアンダースコアに置き換えます。POVから参照されるファイルネームにスペースがあってはいけないからです。
- PlantStudio は、描画エリア内の植物の配置を使って、POV 3D 座標系中に植物を配置します。そのため、よい結果を得るために、カメラ位置で悩んだり、植物全体の大きさを小さくしたり、といった必要がででくるかも知れません。POVファイルにインクルードしたオブジェクトを移動して、位置を修正することもできます。例えば、次のように設定すると、PlantStudio から書き出された植物たちがきれいに描かれるかもしれません:
camera { location <0, 0, -400> look_at <0, 0, 0>}
- 3DオブジェクトエディタでWrite POVをクリックすることで、POV INCファイルへ、葉、花、実、を書き出すこともできます。
- 植物の部分を、植物全体を変更しないで、移動、拡大・縮小、色の変更、テクスチャの変更を行なうことができます。PlantStudio から書き出されたINCファイルを開いて、適切な POV modifier を書き加えます。植物のすべての部分は POVコメントでラベルしてありますから、ファイル中で植物部分をを「読み取る」ことができると思います。例えば、次のような葉の部分に手を加えてみましょう:
mesh { // leaf triangle { <...> } ... pigment { color rgb <0.83, 0.31, 0.19> }}
modifier “scale 10”を pigment の行の後、最後の中括弧の前に書き加えます。mesh { // leaf triangle { <...> } ... pigment { color rgb <0.83, 0.31, 0.19> } scale 10 }
植物を描画するとこの葉が10倍になって描かれます。ユニオン(union)やメッシュ(meshes)、その他の用語に付いてのさらに詳しいことは、POVのドキュメントを見てください。